なんとか推定

フェルミ推定とかいう、
「実際に調べると時間がかかるから、わかりそうな範囲で考えて大体を推定しちゃおう」
というものがあるのですが、
これを会社の面接で出すところが増えているようです。



有名なものでは、
アメリカのシカゴには何人のピアノの調律師がいるか」
があります。
そんなもの実際に数えてみないとわからないわけだし、
正確な回答を即座に出せというのはナンセンスな問題です。


そこで、フェルミ推定を用います。
大体の計算では関わる要素がある程度わかっていれば、逆算して求めることができます。
フェルミ推定では、関わる要素さえも推定して計算します。
推定から出された推定なので、あっているほうがおかしいのですが、
これによって即座に推定した値を言うことができます。


ピアノの調律師に関する問題であれば、
例えば、ピアノの調律師が毎時1人で生まれたとすれば、1日で24人出ます。
例えば、ピアノの調律師というものが定着したのが、100日前であれば、
これらを考慮して考えた場合、24人/日*100日=2400人と、現在は2400人ほどいる推定できます。


もちろんこれが解であるはずがなく、他の見方からでも推定はできます。Wikipediaにあるように、

フェルミ推定 - Wikipedia

まず以下のデータを仮定する。

シカゴの人口は300万人とする
シカゴでは、1世帯あたりの人数が平均3人程度とする
10世帯に1台の割合でピアノの保有している世帯があるとする
ピアノの調律は平均して1年に1回行うとする
調律師が1日に調律するピアノの台数は3つとする
週休二日とし、調律師は年間に約250日働くとする
そして、これらの仮定を元に次のように推論する。

シカゴの世帯数は、(300万/3)=100万世帯程度
シカゴでのピアノの総数は、(100万/10)=10万台程度
ピアノの調律は、年間に10万件程度行われる
それに対し、(1人の)ピアノの調律師は年間に250×3=750台程度を調律する
よって調律師の人数は10万/750=130人程度と推定される


こんな感じに推定人数が割り出せます。
もちろん仮定ばかりのデータを扱っているので、
実際の値が仮定と大きく異なればそれだけ、推定されたデータも大きく異なる事になります。
どれだけ実際の値に近い仮定するデータを取る事ができるかによって、推定で出されたデータの質が左右されます。


今回は例でピアノの調律師の問題を挙げて、僕が書いたものとWikipediaから引用したものの2つを載せましたが、
どちらのほうが大雑把で不正確そう、というのはちょっと見ただけでわかりますね。
後者のほうが多くの因果関係がある情報を取り込んでおり、細かい影響も考えられているといえます。


これを面接に採用する理由は、
頭の回転の速さとか物事の因果関係を深く考えられるかどうか、という辺りを見ているのでしょうか。
フェルミ推定自体も、会社の製品がどれだけ売れるかを算出することは無理なので、
推定してそれが生産コストに見合っているかどうかで検討したりする、などに使えますね。


しかし、面接にまで採用するのはちょっと違うような気がします。
大手ならまだしも、下請けばかりやるような会社がこれを採用したところで、
新入社員一個人が影響力を持てる地位に立てるとは思えません。
そもそも、未知な製品を作るのではない場合はある程度データやノウハウがあるので、
そこから十分な推定ができるので、ここまで要素を考えて近似値なのかも怪しい推定をする必要性は少ないと思います。
納得させられるような推論よりも、実際のデータのほうが信頼できますからね。